慢性腎臓病とは?ABOUT
腎臓は血液をろ過し、老廃物と過剰な塩分と水を取り除く作用を持ちます。その腎臓機能が低下し、慢性的に続く状態を慢性腎臓病(CKD)といいます。CKD患者は、徐々に血液をろ過する機能を失い、時として維持透析や腎移植を必要とする腎不全に至る可能性もあります。つまり、CKDを増悪させないことが重要になります。また、CKDは腎機能の低下に伴い、心臓血管疾患を合併する頻度が高くなるという特徴があります。
慢性腎臓病の症状は?SYMPTONS
初期のCKDは無症状です。しかし、CKDが増悪するにつれ、足のむくみ、高血圧、極度の疲労感なども症状がでてくる可能性があります。
脂質異常症はどうやって診断するの?DIAGNOSIS
下記のどちらか、または両方が3か月以上持続する場合を慢性腎臓病と診断します。
- 腎障害が存在
・画像診断、血液検査、病理などで腎障害の存在が明らか
または
・尿蛋白の存在 - 腎機能障害
糸球体ろ過量(GFR)≦ 60ml/分/1.73m2
※臨床の現場では、糸球体ろ過量は血液検査でわかる血清クレアチニン値と年齢、性別から計算できる推算糸球体ろ過量(eGFR)で評価されることが多いです。
慢性腎臓病と言われたらINSPECTION
慢性腎臓病は、腎機能が完全に改善することなく、徐々に増悪していくことが多い病気です。しかし、低下してしまった腎機能を維持できる可能性はあります。腎機能悪化に影響を与える因子としては、高血圧、糖尿病、喫煙などがあります。したがって、血圧コントロールを厳重にする必要があります。また、血糖コントロールも重要です。さらに、喫煙されている方は禁煙しなくてはなりません。また、心臓血管疾患の合併する頻度が高いので、常に心電図、心臓エコー検査、頸動脈エコー検査、運動負荷心電図検査などによる合併症評価も重要になります。
慢性腎臓病の治療TREATMENT
慢性腎臓病の治療目標は、腎機能が増悪して、維持透析や腎移植を必要とする末期腎不全に至らないように予防することと、心臓血管疾患合併を予防することになります。生活面においては、塩分制限、蛋白制限を中心とする食事療法と適度な運動療法が基本となります。また、禁煙と節酒も重要です。鎮静剤や漢方などの漫然とした服薬にも注意が必要になります。血圧は130/80mmHg以下にコントロールすることを目標にします。ただし、尿蛋白1g/日以上であるCKD患者さんは、125/75mmHg以下で厳重な血圧コントロールが必要です。降圧薬療法としては、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)の使用がガイドラインで推奨されています。肥満の是正も重要治療になります。
慢性腎臓病への当院の取り組みINITIATIVE
- 慢性腎臓病は、生活習慣の修正が重要ですが、早朝または朝のオンライン外来を受診頂くことだけで、生活習慣の是正の重要な一歩が踏み出せます。
- 慢性腎臓病は合併症評価が重要になりますが、当院では循環器・血管専門医による直接の診察・検査で心電図や心エコー評価、運動負荷心電図(狭心症を評価する検査)を1回の受診でなるべく短時間で実施し、オンラインで結果説明をするスムーズな診療が可能です。
- 慢性腎臓病、合併症に関して、専門医のハートチームアプローチで治療提案を行っています。